多くの地元工務店が、「アフターは大事だ」と分かっています。
実際、何かあれば対応しているし、
施主からの連絡を無視しているわけでもない。
それでも、
- 忙しいと後回しになる
- 担当者に任せきり
- 気づけば「問題が起きてから対応」になっている
そんな状態になっていないでしょうか。
アフター体制は、
頑張っているかどうかではなく、仕組みとして整っているかどうかで差が出ます。
まずは、今の貴社の状態を客観的に確認してみましょう。
地元工務店向け、アフター体制「簡易セルフ診断」
各項目について、貴社に最も近いものを選んでください。
- ○:仕組みとして整っている
- △:何となくやっているが曖昧
- ×:できていない/担当者まかせになっている
基本体制(仕組み化できているか)
- 引き渡し後のアフター対応の流れを、紙1枚で説明できる
- 定期点検の時期・回数・担当者が決まっている
- 不具合連絡の窓口が一本化されている
- アフター対応の履歴を記録している
- 担当者が不在でも対応できる体制がある
対応品質(クレーム予防の視点)
- 保証範囲・有償対応の基準が社内で共有されている
- 小さな不具合も相談しやすい空気がある
- 対応スピードの目安を決めている
- トラブル事例を社内で共有している
- 同じ内容のクレームを繰り返していない
フォロー体制(何もない時の関係づくり)
- 引き渡し後、こちらから連絡する仕組みがある
- 住まいの使い方・注意点を継続的に伝えている
- 定期的な情報発信の手段がある
- 「困ったらまず相談できる存在」になっている
- 10年後の付き合いを意識した対応ができている
経営への活用(アフターが資産になっているか)
- アフター対応が業務改善につながっている
- 紹介・口コミにつながった事例を把握している
- アフター対応の負担を把握している
- 特定の人に業務が集中していない
- アフターを「コスト」ではなく価値と捉えている
診断結果の目安
- ○が多い
→ アフター体制は仕組みとして機能しています - △が多い
→ 担当者まかせ・感覚頼りなので、仕組み化すると一気に伸びる可能性あり - ×が多い
→ クレーム・信頼低下のリスクあり。早めの見直しがおすすめです
多くの工務店がつまずくポイント
この診断で△や×が多かったとしても、能力や姿勢の問題ではありません。
多くの場合、
- 現場対応に追われる
- 人手が足りない
- 優先順位が後回しになる
その結果、
「何も起きていない時に、何をするか」が決まらないまま、日々の業務が回っていきます。
すると、
- 連絡はトラブルが起きてから
- 不満が溜まってから表面化
- 対応が後手に回る
という流れになってしまいがちです。
つまり、多くの地元工務店がアフターでつまずくのは、
現場の問題ではなく、「現場任せにならざるを得ない状態を放置していること」が原因です。
では、無理なく回る体制にするには、どんな考え方が必要でしょうか。
アフター体制を「楽にする」考え方
アフター体制を整える=「対応件数を増やす」ことではありません。
重要なのは、何も起きていない時からOB顧客との接点を持ち、自然に関係を維持する仕組みを作ることです。
具体的には次の2点を意識すると、負担を最小限にしながら安心感を提供できます。
- 定期的な接点を決める
- 年1回でも半年に1回でも構いません。点検やイベント案内を行います。
- 大切なのは、工務店側から先に連絡がいく状態を作ることです。
また、連絡のタイミングを決めるだけでも、抜け漏れを防げます。
- 内容と手段を固定する
- 連絡内容は季節ごとの注意点や施工後のポイントなど、定型化。
- 手段はメール・ハガキ・ニュースレターなど、ひとつに絞ることで管理が簡単になります。
この考え方をベースにすれば、アフターは現場の負担ではなく、仕組みとして回るものになります。
施主への情報発信も、無理なく継続できる形に整えられるのです。
まとめ アフター体制は「現場任せ」から卒業する
アフター体制が整っている工務店は、誰かが特別に頑張っているわけではありません。
- 流れが決まっている
- 情報が共有されている
- 無理なく続く形になっている
その結果として、現場の負担が減り、施主との関係も安定します。
まずは今回の簡易診断で、今の立ち位置を知ることから始めてみてください。
今回は、アフター体制を「診断」するところまでを整理しました。
次回は、体制はあっても人手不足の中で、どうやってアフター実務を回していくのか、現実的な考え方を掘り下げます。

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