前回の記事では、アフター体制が「仕組みとして整っているか」を診断しました。
今回は、人手不足でも、どうやってアフター実務を回すのか?について解説します。
まず、大前提として、アフターを「完璧にやろう」としないようにします。
たとえば、
- すべてのOBに同じ対応
- すべての問い合わせに即対応
- 小さな不具合も全部拾う
という工務店は理想的ではありますが、人手不足の工務店では破綻します。
それは、OB様にとっても大きなデメリットです。
それゆえ、最初から線を引いてしまうのです。
一次対応を「選別」する
そのためには、まず最初の段階で「選別」を行います。
「選別」というと聞こえは悪いですが、対応の優先順位を決めるという意味です。
やるべきことは、
- 連絡窓口を一本化(電話 or フォーム)
- 内容を
- 緊急
- 点検時対応
- 次回まとめて対応に分類します。
ここで大事なポイントは、
- 現場にいきなり振らない
- 判断は事務・経理・代表でも、誰でもOK
にすることです。
つまり、 現場は「必要な時だけ」動く設計にします。
OB対応を「分ける」
また、OB顧客への対応は下記のように行います。
- 施工後1〜2年以内:手厚く
- それ以降:定期連絡+点検中心
OB顧客は皆、大切な存在です。
が、それでも、経営としては対応の濃淡をつける必要があります。
そのため
- 全OBを同じ熱量で見るのをやめる
- アフターが必要な期間に集中する
ことで、アフターへの負担を減らしておきます。
アフター作業を「ついで化」する
さらに、アフター作業は、できるだけ「ついで」に行えるように工夫します。
たとえば
- 定期点検を「現場帰り」「近隣現場のついで」に組む
- 小修繕はまとめて1日で回る
などです。
つまり、
- アフターのために予定を空けない
- 工事と同列に扱わない
意識を持つことで、移動と段取りの無駄を減らします。
やらないアフターを決める
さらに、もう一つ、大切なことが「やらないアフター」を決めることです。
そのためには、
- 無償対応の範囲を明確化
- 経年劣化・使用上の問題は有償へ
という自社独自のルール(引き渡し時に書面で交付)を作っておきます。
つまり、
- 断るのではなく、最初から決めてある
- 感情ではなくルールで判断している
何でもないことのようにみえますが、たったこれだけで 現場も経営者も心が消耗しません。
情報提供で「呼ばれない」状態を作る
OB顧客には、住まいに関する正しい情報を提供し続けることが大切です。
たとえば、
- 季節ごとの注意点
- よくある不具合とセルフチェック
こうした情報を、ニュースレターのような紙媒体にきちんと掲載しておくことで
- トラブルが起きないようにする
- 実務を減らすためのアフター体制
が整うようになります。
つまり、 アフター=対応 ではなく、 アフター=発生させない工夫のことです。
まとめ
人手不足の中でアフターを回している工務店は、
「頑張って対応している」のではなく、対応しなくて済む設計をしています。
アフター体制とは、現場を増やすことでも、人を育てることでもなく、現場が動かなくて済むように整えることです。
こうした実務設計を支える手段として、ニュースレターや点検案内など、情報が手元に残るツールは非常に有効です。
ぜひ、貴社ならではの、アフター体制づくり=ツール作りを進めてみてください。

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