見積もりの依頼が来たとき、最初に行くのが現場確認です。
私の経験上、ここでの最初の一歩が、その後の提案の質、職人の作業のしやすさ、お客様の満足度まで、ひと続きで決まってきます。
「とりあえず寸法を取って、写真を撮って、帰って見積もりを出す」そ
れだけでは、ごく普通の仕事になりやすいです。
絶対的な信頼を得るためには、最初の現場確認で、お客様の本意と、家の中の現状を、しっかり押さえておく必要があります。
最初の現場確認で、必ず持っていくもの
必要最低限の持ち物は、次のとおりです。
- メジャー
- カメラ(スマホで可)
- 打ち合わせ内容や図面を書くためのもの(タブレットでも可)
- スケジュール帖(スマホでも可)
メジャーとカメラ、筆記用具があれば、とりあえず間取りや状況、お客様の要望は把握できます。
あわせて営業や職人のスケジュールも確認し、見積もり提出の日程はもちろん、そのあとの工事時期のご希望なども、この段階で聞いておきましょう。
後から「聞いてみたら、日程が合わなかった」なんてことがないようにします。
もっとも重要なのは、持ち物より「二つのスキル」
現場確認では、要望と状況の確認だけでなく、次の二つを、意識的に起動させておいてください。
- コミュニケーション力(お客様の本意を読み取る)
- 観察眼(家の中の状況をしっかり見る)
「部屋を広げたい」は、必ずしも「増築」ではない
コミュニケーション力でいちばん大事なのは、お客様の言葉を額面通りに受け取らないことです。
「部屋を広げたい」──これは、増築の話とは限りません。
- 動線が悪い、
- 収納が足りない、
- 部屋が暗い、
- 居場所がない、
など、そこには、何らかの不満があります。
もちろん、お客様の中では、その不満を解消するための手段が、「部屋を広げたい」につながっているのですが、
単に「増築」したとしても、それが、本当の不満の解消にはつながらない可能性があります。
なぜなら、所詮、お客様と営業マンは赤の他人だからです。
「ツーと言えばカー」の関係とは違うのです。
だからこそ、「部屋を広げたい」という要望を聞いたならば、その奥にあるお客様の隠れている不満を見つけることがとても大事になります。
確かに、お客様の言葉だけでプランを組んだとしても、工事後、お客様から文句が出ることはありません。
なぜなら、お客様の言葉通りに「増築」はされているからです。
ただ、「満足感は得られない」可能性は高くなります。
正直、それの何が悪い?
と思われるかもしれません。
が、一つ言えることは、このお客様からの「紹介」「リピート」はほぼ、期待できない・・・ということです。
さらに、大きな視点で考えれば、
「やっぱり、リフォームではダメなのよ。新築じゃないと」
という間違った世論がこれから先もリフォーム業にずっとついて回ることになり、自分で自分の首を絞めてしまいます。
家の中を見ると、生活のリアルが見えてくる
そうならないためには、家の中をしっかり観察することが欠かせません。
正直な話、リフォームは、そのご家族の生活ぶりまでわかる仕事です。
- 朝はパン食か、ご飯か。
- 洗濯物はどこに溜まるか。
- 靴はどこに脱ぐか。
- キッチンに立つ人のくせ。
- ご夫婦の関係性。
などなど、そうしたことに、
- 気づけるか?どうか?
- 気づいたことを、提案に乗せられるか?どうか?
この二つが、価格の話の前に、お客様の心を動かすかどうかを分けます。
リフォームの仕事は、器を作るだけではない
リフォームの仕事は、暮らしの器を作るだけ、暮らすための設備を入れるだけ。
そこで止まると、最終的にはライバル会社との価格競争に巻き込まれていきます。
- 器を作る以上の提案
- 設備を入れる以上の提案
をするためには、常に、今の現状を、どんなことでも把握しておく必要があります。
その土台が、最初の現場確認なのです。
仕事だけを請け負うと、何が起きるか
以前、同業者に泣きつかれ、その会社の下請けとしてリフォームの仕事を請け負ったことがあります。
ところが現場では、小さなトラブルが続出しました。
言うまでもありませんが、そのトラブルの原因は、プランが違うとか、技術的に問題があるというような話ではありません。
何が問題だったのか?
- プランは元請けが作ったもの
- お客様の本当の要望がわからない、お客様の事情もよく知らない
この二つが、いちばん大きかったのです。
どれだけきちんとした仕事をしても、元請けが適当な打ち合わせしかしていなければ、必ず!どこかに不満が出ます。
そして、職人たちは現場で、こんな言葉を聞くことになります。
「〇〇って、言ったはずだけど?」
これを聞いて、職人は、どう感じるでしょうか。
「言われた通りに作っているのに、文句を言われる」
この不満は、お客様側の不満と、つながっています。
お客様が不満なら、職人も不満になる。
どちらか一方に不満があれば、リフォームはうまくいきません。
なのに、お客様からも職人からも信頼できない・・・と思われたら?
会社の未来は、明るい・・・とは言えません。
まとめ
リフォームの最初の現場確認で何より大事なことは、寸法と写真を集めることだけではありません。
お客様の本意を汲み取り、家の現状を見抜き、それを提案と現場につなげることです。
メジャーとカメラは、もちろん持っていく。
そのうえで、コミュニケーション力と観察眼を、最初からオンにしておく。
「よく、気が付いてくれる」
「よく、わかってくれる」
そう言ってもらえる一歩が、最初の現場確認だということを、ぜひ肝に銘じておいてください。

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