要望を理解した先に、どんな提案ができるかが勝負
リフォームの打ち合わせでは、お客様の「こうしたい」という声をしっかり聞くことが大切です。
ただ、要望を聞いただけでは、差はつきません。
その先に、「その要望をどう形にするか」を提案できるかどうかが、信頼されるリフォーム店とそうでないリフォーム店の分かれ目になります。
「キッチンを新しくしたい」「浴室をリフォームしたい」といった要望は、あくまで手段や希望の一部です。
その奥にある小さな要望やストレスを見逃さず、
- 「もっと楽しくキッチン仕事をしたい」
- 「毎日の入浴をストレスなく過ごしたい」
といった本当に叶えたいことを理解したうえで、設備や間取り、仕上げ材まで含めた提案ができると、お客様の満足度も、リフォーム店への信頼もぐっと高まります。
この記事では、「設備を入れて終わり」にしない提案の考え方と、リフォーム店として意識したいスタンスをまとめます。
設備は「手段」であって「目的」ではない
キッチン・浴室・トイレ・床・壁……。
リフォームでは、どうしても
- 「どの設備を入れるか」
- 「どのメーカー・機種にするか」
の話が中心になりがちです。
もちろん仕様は大切ですが、設備そのものが目的になってしまうと、提案は「カタログの選択」で終わってしまいます。
お客様が知りたいのは、「新しいキッチン」というモノそのものではなく、そのキッチンで本当に理想の暮らしができるのか?の方です。
たとえば、
- 「私一人だけ、料理や後片付けをしている状態を解消したい」
- 「収納が足りなくて、いつも台所が散らかってしまうのを解消したい」
- 「年齢を重ねても、長く無理なく使い続けたい」
こうした暮らしのイメージが共有できると、「設備を入れて終わり」ではなく、「その暮らしを実現するために、この設備・この配置・この仕様が合っている」という提案ができます。
「入れて終わり」の提案と、「その先まで考える」提案の違い
| 入れて終わりになりがちな提案 | その先まで考える提案 |
|---|---|
| 「キッチンの高さは〇cmにします」 | 「キッチンの高さ」を求める数式はありますが、あくまでも目安です。毎日、作業をする場所ですから、〇〇のように考えましょう」 |
| 「浴室はこのメーカーで」 | 「浴室の寒さ対策も、考えておかれると良いです。また、掃除のしやすさなども、重要なポイントになります」 |
| 「床はフローリングで」 | 「水回りには、耐久性のあるものを、リビングには、無垢材なども候補に入れられてはどうでしょう?」 |
「設備を入れて終わりにしない」とは、仕様を決めて施工して終わりではなく、お客様の暮らしがどう変わるのか?5年先、10年先まで見据えて提案するということです。
本当の要望を理解したうえでの提案の考え方
ステップ1:要望の「なぜ」を共有する
以前の記事「聞く力」で触れたように、「部屋を広げたい」「キッチンを新しくしたい」といった表面の要望の奥には、本当の理由があります。
提案の前に、なぜそうしたいのかを一緒に整理しておくと、提案の方向性がぶれません。
- 「キッチンを新しくしたい」→ なぜ? → 「料理中もリビングの様子が見たい」「収納を増やしたい」など
- 「浴室をリフォームしたい」→ なぜ? → 「転倒が心配」「掃除を楽にしたい」など
この「なぜ」を言語化してもらう(または一緒に掘り下げる)ことで、設備選びや間取りの判断基準がはっきりします。
なぜ?という質問だけでなく、今のキッチンや浴室の不満をできるだけたくさん聞き取る雑談力も必要です。
ステップ2:暮らしのシーンをイメージする
「なぜ」がわかったら、具体的な暮らしのシーンをイメージして提案します。
- 朝、家族がバタバタする時間帯に、キッチンの作業動線は大丈夫か?
- 脱衣所兼洗面室の広さと浴室の広さは、どちらが優先か?
- 将来、車椅子や歩行器を使う可能性はないか?
こうしたシーンを一度イメージしておくと、「この設備をここに置く」「この高さ・この材質にする」という提案にも説得力が出ます。
お客様にも「やっぱり、プロに相談して良かった」と思ってもらえるようになります。
ステップ3:設備・間取り・仕様を「暮らし」に紐づけて伝える
提案するときは、「この設備がいいです」ではなく「こういう暮らしを実現するために、この設備・この仕様が合っています」と紐づけて伝えると、お客様の納得感が違います。
- 「勉強を見ながら家事ができるよう、キッチンとリビングの境界を低いカウンターにしました」
- 「ご高齢になっても安心して使えるよう、扉は、段差なしの引き戸にしています。」
こうした一言があると、「売り込み」ではなく「私たちの暮らしを考えてくれている」と感じてもらいやすくなります。
リフォーム店として意識したい提案のスタンス(まとめ)
主役は「お客様の暮らし」である
提案の主役は、メーカーでも機種でもなく、お客様の暮らしです。
カタログやトレンドに引っ張られすぎず、
- 「このご家庭にとって、いま何が一番大切か」
- 「5年後、10年後も安心して暮らせるか?」
をいつも意識します。
設備は「叶えるための手段」と位置づける
キッチン・浴室・床・壁は、お客様の「こう暮らしたい」を叶えるための手段です。
要望の「なぜ」と暮らしのシーンを共有したうえで、最適な設備・間取り・仕様を選ぶ、という順番を崩さないようにします。
暮らしのイメージを言葉にして返す
「このキッチンがおすすめです」で終わらせず、「こういう使い方・こういう場面を想定して、この提案にしています」と言葉にして返す習慣をつけると、信頼と満足につながります。
聞く力と提案力はセットで磨く
本当の要望を引き出す「聞く力」と、それを形にする「提案力」は表裏一体です。
聞いた内容を、そのまま設備の選択に反映させるのではなく、暮らしのイメージに翻訳してから提案することを心がけると、「設備で終わらない」提案ができるようになります。
要望を理解した先に、どんな提案ができるか。
そこに、リフォーム会社としての差が出ます。
新しい設備を「入れて終わり」にせず、お客様の「やりたいこと」を形にする提案を続けることが、信頼されるリフォーム店への一歩です。
昨今、多くの業種が、設備の入れ替え工事に参入してきていますから、単に設備の入れ替えだけを請け負っていては、価格競争に巻き込まれます。
そうならないためには、聞く力と提案力を磨くことが、必要です。
ぜひ、ご自身も日頃から「生活者目線」を磨き続けてください。

コメント